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<Author: 元結>
<Title: 賊退示官吏>
<Format: 格式不明>
<Year: 1988>
<BookName: 唐詩三百首詳解  上卷>
<Translator: 田部井文雄>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 賊退き官吏に示す　井びに序>
<BookPage: 426>
<UsedPage: 1>
<Feature: 5>
<End Header>
<Poem>
昔歲逢太平，
山林二十年。
泉源在庭戶，
洞壑當門前。
井稅有常期，
日晏猶得眠。
忽然遭世變，
數歲親戎旃。
今來典斯郡，
山夷又紛然。
城小賊不屠，
人貧傷可憐。
是以陷隣境，
此州獨見全。
使臣將王命，
豈不如賊焉。
今彼徴斂者，
迫之如火煎。
誰能絕人命，
以作時世賢。
思欲委符節，
引竿自刺船。
將家就魚麥，
歸老江湖邊。
<End Poem>
<Translation>
みずのとうの年七六三、西原の敵が道州に攻め入り、火をつけ、人を殺し、
物を奪って、ほとんどその暴虐の限りを尽くして立ち去った。翌年、敵はまた永州を攻め、その郡役所の町を破壊したが、この道州の片田舎までは侵犯しないで引き上げた。どうしてわれわれの武力でその敵をおさえることができたであろうか。思うに、その敵の憐れみを受けただけである。それなのに、あなた方多くの朝廷派遣の役人たちは、どうして過酷な徴税をするのに耐えられるのであろうか。それをするにしのびないはずである。そこでこの詩一編を作り、役人たちに提示するのである。

昔、太平の世にめぐり逢い、わたしは山林隠処二十年の間のどかに住んでいた。その地は泉のみなもとが庭先にあり、深い谷が門前にあるといった奥深いところであった。租税は納期が一定していてそれ以外の課税はなく、陽が高くなって、それでもなお、安眠を貪ることができた。

ところがにわかに世の乱れに出あい、数年の間、自分も軍務に従うこととなった。現在は赴任して、この郡の太守として、その治政を担当する身であるが、山中よりの蛮賊が、さらにまた、入り乱れ侵入している。この道州の町が小さいので、賊は攻めこんで、殺害・略奪をしなかったが、それは、人民が貧しくて、憐れむべき状態にあったのを同情したためである。こういうわけで、賊は近隣の諸州を攻略して、、この道州だけは安全が保たれたのである。

徴税官は天子の命令を奉じている身であるのに、どうしてその賊にも及ばぬ冷酷さでよいことがあろうか。現在、徴税される人民たちは、徴税官に取り立てられることは、火で焼かれるような厳しさである。いったいだれが、人民の生命を絶ちきって、当代の賢者として、たたえられる人となり得ようか。

わたしが、今願い求めることは、官を辞して竿を持ち出し、自分で船を漕ぎ、家族をひきつれて川や畑のある田舎におもむき、隠者の住む世界に帰りたいということだ。
<End Translation>